喪服を着て死んだ男

壮大な冬の満月だ

質素な通夜を辞し

一つ息を吐く

 

参列者の声

絡みつく思い出

しゃんとした喪服で

くたびれた顔

 

幸福そうな彼女は

明日を抱いて死んだよ

俺の弱さも優しく

受け止めたまま

 

冷めた頬をそっとなぞった

指先の熱が強く拒まれた

 

決行前夜の最悪な話

感傷の寄生虫が

胸で蠢く

 

躊躇いばかりの俺は

死にたいけれど生きたよ

エゴに囚われ世界を

託したくせに

 

かまいたちの悪戯を笑う

賽は投げられた

零れ落ちるように

 

今宵が絶頂さ

懐かしい冬の匂い

 

自己憐憫に溺れた

独白なんてやめるさ

孤独の空を嗜み

君を忘れよう

 

ああ 報われない

ああ 報われない

祈りの灯火が

煌めいて消えた

 

ああ、しんどいな

ああ