旅情の季節

水面に育つ草木 澄ました亜麻色の歌

寄る辺なき旅のように季節の息吹は凪ぐ

ぼんやり眺めた過去 耽ってふと見渡せば

仮初めの花が咲いたあえかな黄昏時

 

昨日までは胡蝶の夢

時の流れが僕をまやかした

 

柔らかな風になびいて

思い出は震えていた

穏やかなこんな時間もいつの日か風になる

 

ゆらゆら流れて… 静かに流れて…

 

見上げた空に泳ぐ 銀色の雲は僕のよう

囁いた小夜の調べ 何度でも時は巡る

 

何気なく日々を感じて慈しんで行けるなら

切なげに移ろう景色や追憶も花やいで

川のように流離い美しき旅路を行く

何度でも心が強く締め付けられるように