みなさまこんばんは。
「シークレットジーン」語り編。今回で最後になります。
第1回目ブログでは制作までの道のりや裏話を書きました。
第2回目ブログではアルバム全体の主観的印象や裏話part2を書きました。
最終章は各論ということで、楽曲それぞれについて書いていこうと思います!
ある意味一番マニアックな内容となりますし、長くなっちゃうので前編後編に分けますね。
是非シークレットジーンをBGMにでもかけながら読んでいただけたら至高の極みですね。
▼シークレットジーン〜各論
1.手の中の陽炎
英歌詞を入れたりラウドロック調にしたりしましたが、精神はeastern youthの影響が出ている1曲です。
勢いがありつつ、爽やかな曲になったなと思います。
会えない人のこと、今会える人のことの両方を大切に想えるような曲を作りました。
この頃は大切な家族、うさぎのポポが体調を崩していた頃で、たびたび入退院を繰り返していました。
こちらの心労も大きかったですが、そんな中でお見舞いで会いに行く時間はかけがえのないものでした。
かたや、二度と会えない友人のこともことも思い出しながら、人生で直面する出会いと別れを考えます。
今はポポちゃんにも会えなくなってしまったけど、先だった人がいたからこそ大切な時間を過ごせた。
この経験も、俺にとって手の中に握りしめている陽炎として、今後も残っていくと思います。
2.アイロニー
日記のような感覚で書きました。
皮肉的な表現をしつつ、ただの愚痴になるようにも意識しつつ、だけど歌詞だから体裁を整えて。
歌詞で書いているんですが、前半から中盤まで書いていることは全部嘘(虚勢)なんですよ。
それをひっくり返すような楽曲構成にしました。
w-mの中では淡々とした音や展開が並び、最後にどんでん返し。
これも自分なりに考えた皮肉なのでした。
あと終わり方もちょっと唐突めに終わる。
表現は悪いと思いますが、レイプして捨てられたような終わり方にしたかったんです。
他アーティストにもそういった楽曲はあって、不思議な気持ちになります。
3.夜と霧
絶望感の中で救いがないストーリーを書きました。
誰も助けてくれない。諦めるしかない。
最後の力を振り絞って頑張ってみても無意味に終わり、存在にも気づいてもらえない。
このあたりはナチスドイツの命令であり、文学作品にもなった『夜と霧』を模しています。
ただ自分なりのエッセンスを加えたのは、助けを求める人へ手を差し伸べない人の心理です。
人は理解し合っているから優しくなれるし、理解していないものは無関心だったり畏怖を覚えたりします。
この構図は現代社会では如実で、昔よりも距離感の取り方が難しくなっていると思います。
昭和のご近所関係のようにはいきませんね。
ちなみに昭和生まれではないので当時のことは知りません。
音はソリッド!かっこよく攻撃的なリフだと思います!
だけどサビとかはスローな拍にしていて、緩急がついた綺麗なメロディになっているかなと思います。
4.砂の男
お察しの通り、阿部工房『砂の女』から着想を得ています。
歌詞より先に楽曲が出来たのですが、なんだかだるくて、オルタナっぽくて、宇宙も感じる。
ちょこっとシューゲイザー的なアプローチは初めてだったかもしれません。
それをどう表現しようかと思った時に、『砂の女』を拝借しました。
この作品では、砂の家に閉じ込められた主人公の自由をテーマにしています。
異常な状態から逃げようと努力したが、そこに住む女と共生していき、主人公なりの自由を見出す話です。
俺はそれを逆手にとった詩を書きました。
「砂の男」では登場人物は1人です。
『砂の女』の物語を鼻で笑いながら、何も為しておらず、一人だし五体満足なのに自由を感じていない。
砂の男は自分で砂を作っているという話です。
5.のこす
本作で最もメッセージ性がある1曲だと思っています。
「シークレットジーン」というアルバムの発想を作り上げる核となっています。
自分もそうですが、なかなか人は何かを残すのが難しいです。
これだけ情報社会になって、何かの拍子にバズったりすることがあっても、そうなる人は少数派です。
そもそも、ちょっと取り上げられたから、有名だからと言って、誰かに残るものになるかもわかりません。
残すと言えば、人は子どもを残します。
だけど昨今ではそれも難しい人も多い。
生き抜いた実感も持てなければ、世間に褒められるようなものも残せていない。
時に虚しさを感じることもあるんじゃないかなと思いました。
俺もその一部です。
この虚しさをストレートに歌詞にしたものになります。
だから音も超直球。小難しいことはしていないです。
心の奥にある、人に出せないような弱さを爆発させたのがこの曲となっています。
今回は一旦終わりです。
後編はまた次回。
何かの節に何かの支えになるなら、俺は嬉しいです。
この作品が皆様の心へ届くことを祈っています。
コメントをお書きください