「鬱バンド」とか「鬱ロック」とかが登場した不思議な時代


 

鬱バンドとか鬱ロックとか、そういった言葉が出て来たことがあった。

2000年過ぎくらいだろうか。

「3大鬱バンド」なんて括りも登場したが(Syrup16g、THE BACK HORN、ART-SCHOOL)、その他THE NOVEMBERSやR指定なんかも同じリスナーから好まれたりと、多種多様だ。

最近だとamazarashiが絶大な人気を誇っている。

あとアーバンギャルドが主催している「鬱フェス」なんてものもある。

やっぱりつらいときに音楽に支えられたという人はたくさんいるもので、メンタルを崩した人の気持ちを代弁するような音楽への支持は時代が経っても根強いように感じる。

 

かくいう自分も「ダウナー/アイデンティティ/モラトリアム」をテーマに活動しており、人間や社会のマイナスな面を歌っている。

だから自分が目指す目標は「鬱バンドになること」なのだろうかと考えることもある。

実際そういう風に謳おうかと思ったこともあったが、それは違うなと思ってやめた。

決して鬱病の人のためだけに歌を作っているわけでもないし、何より「鬱」という言葉をステータスにしたくなかったからだ。

 

俺は上に記載してあるバンドのうち、THE BACK HORNを除いてほとんど聞いていない。

そんなに気持ちに合わなかったのだ。

歌詞もそうなのだが、それよりも音が重要だった。

自分の気持ちを「音」にして代弁してくれるものが少なかったということだ。

もちろんそれは自分の話なので、人によって受け取り方は異なる。

誰かの気持ちの代弁者はビョークかもしれないし、シューベルトかもしれないし、Convergeかもしれないし、buck numberかもしれない。

そう、楽曲の「明るい/暗い」の感覚って人によってかなり違うので面白いところなのだ。

しかしながら、先ほどの「鬱バンド」がそう呼ばれる所以は歌詞が大きいところだろう。

きっと彼らの歌詞は等身大の気持ちが綴られていて、救いがないかのように音へ乗せる。

「自分みたいな人が他にもいるんだ」って思えるから心に響くのだと思う。

 

さて、話は広がり今の時代についてだ。

鬱病というものが認知されるようになったからか、数年前と比べその罹患者は激増している。

じゃあ音楽トレンドにもその波が来たかと言えば、むしろ逆に感じるだろう。

明るい曲が増え、応援ソングが増えた。

その方が需要があると言われればそれまでだが、業界が作り出したいムーブメントも関係しているのではないか。

テレビやYoutubeの多くは明るい人ばかり出ていて、基本的に暗いものは出したくないのだと思う。

だけれどニュースは暗いものしかないくらいだ。

必死に蓋をしようとしているのに溢れ出てしまっているようにさえ思う。

この不景気な世の中が進むほど、世間は明るく振る舞っていくんだ。

結局アンダーグラウンドだから、鬱バンドなんてそんなに流行ることもなかった。

所謂メンヘラが心を寄せていたV系というジャンルすら減っていった。

ある意味で作品としては小説や絵の方がアンダーグラウンドだと思う。

音楽って分数も限られていてメディアとの相性も良いからこそ、表現の自由度としては限られてしまうんじゃないかな。

逆に言えば、鬱屈した気持ちをストレートに歌っていたバンドがいくつも日の目を浴びていたことは日本において貴重な時代だったのだと思う。

個人的には今後も鬱バンドというものがリバイバルのように沸き上がることもないと思っている。

 

だから、俺は自分の気持ちを正直に表現することだけを考えるようになった。

憂鬱や虚無といった気持ちをいろんな切り口で素直に表現する。

その気持ちが尽きたらw-mは廃業にして、心健やかに別の生活をしていきたいくらいだ。

結局ジャンルやレッテルなんて後から付いてくるものだからどうでもいいのだ。

自分の目標は言葉通り「自己表現」なんだと気づいたし、上に挙げてきたアーティストもそうだったのだろう。

いつの時代にも音楽に救いを求める人はいるから、陰鬱な気持ちを引っさげたバンドがアップデートされていくことを願っている。

もっと言えばそんな気持ちを持ち合わせた人が少ない時代が到来すればなんて理想を夢に見ている。

 

ちなみに、先に挙げた「鬱フェス」へ一般応募をしたことがある。

応募要項に「想いを書いて下さい」みたいなことが書いてあり、自分が最高に体調を崩していたこともあったので「鬱で死にそうなので最後にフェスに出させてください」とメッセージを送った。

ご丁寧に返信を頂いた。

「厳正な選考の結果、今回は見送らせていただきます」と。

落としてくれてありがとうございます。

こうして今生きていられるし、病をステータスのように使おうとしていた当時の自分を恥ずかしく思わせてくれた。

音楽ってそういうもんじゃないから、俺は俺で頑張ろうと思った。

-今日のおすすめの1曲-

Digital Bath - Deftones

-コメント-

Coolな1曲。文字の通りそこはかとなく冷めた感じがして大好きだ。

今回のテーマに即してこの曲を選んだ。もし「暗い音楽が好き」という人がいたら是非耳にしてほしい。

RadioheadとかSyrup16gとかbjörkとか宇多田ヒカルとか、人それぞれ思いつくアーティストは様々だろう。

自分にとって沈みたいときに聴きたいのはDeftonesなのだ。