秋である。
その涼やかさを感じながら歩く最中、秋と呼ぶことに陳腐さを感じた。
俺にとって今というものは秋ではなく、夏と冬の真ん中なのだと思う。
9月が終わろうとしていた。
以前に音感がずれてしまったことについて書いたことがある。
過去記事:全ての音が半音高く聞こえるようになってしまった話〜「ド」の音が「ド」じゃなくなった
実は今は別の問題も抱えている。
耳の聞こえが悪いのだ。
ミキシングをしていた数日前の早朝、音の感じが変わったことに気づく。
あれれ、こんなミックスをしていたっけか。
高域の聞き心地が悪く、がさついた感じがする。
なかなかハイテンションな曲だったから、ミキシングもハイになってしまったのだろう、そう思った。
しばらくして高音域で耳鳴りが鳴っていることに気づく。
その耳鳴りは今も止まらず、少しずつ強みを増していき、時に人の声も聞き取りづらくなった。
初めて耳鼻科で検査をした。
音感のことも気になっていたので問診票に記載したが、そこまで話は至らなかった。
聴力検査の結果、日常で生活する上では問題ないとのことだった。
しかし低音の聴力がかなり落ちていることがわかった。
俺は突発性難聴を疑っていたが、現在はまだ分からないとのことで、医師からすればメニエール病の疑いが強いとのことだった。
この結果に安堵していいものか分からず、それから俺の心は宙に浮いてしまっているような気がする。
ひとまず集中して耳を使うことはお休みすることにした。
今はとりあえずクソまずい薬を飲みながら経過観察中だ。
耳鳴りが気になって眠れなくなってきた。
先にも書いたが高音域の耳鳴りで、感覚的には8kHz以上の音が鳴っている。
初めてライブを観に行ったときの夜、中域あたりの強い耳鳴りもうるさかったが幸せでもあった。
あの時の気持ちとは全然違うことはいうまでもない。
こんなんだから、気を紛らわせるための音楽も聴く気が起きない。
睡眠を試みてから途中で起き上がることが増えた。
今も電気のついていない暗い部屋で、気持ちを誤魔化すように酒を飲み、だらだらしている。
耳のことで落ち込んでいるわけではない。
なんとも言えないけれど、なんだかセンチメンタル。
この気持ちの理由を教えてほしい。
耳の不調が原因で落ち込んでいるのだろうか。
それともメンタル的に落ち込んでいたから耳が不調になったのだろうか。
はたまた季節の切なさか。
原因は解明不能だが、一つ思い出すことが増えた。
なぜか昔のことを思い出すようになった。
約15年前のこと、中学時代のことだ。
その時代にドラマティックな出来事があったわけでもない。
しかしそこに想いを馳せてしまう。
初めてライブに行ったときもこの頃だったな。
きっと何かを比較しているのだ。
楽しいことも苦しいことも共存していた不思議な時代。
どちらにも恥しさを感じていた。
この歳になっても、年に何回か夢に出てくるくらいには尾を引いている。
あの頃にどんなパワーがあったのか、改めて俺は知りたくなっている。
耳鳴りを「聞いて」いると、なぜだかそんな想いが込み上げてくる。
とてもとても曖昧な心。
俺は今、夏と冬の真ん中にいるのだと思う。
-今日のおすすめの1曲-
Vibes By Vibes - 10-FEET
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